#13 「共生」 撮影地:岡山県岡山市久々井

 吉井川の河口に近い久々井の海岸で、アオサ採りの女性と一羽の青サギを見かけた。広い渚にいる一人と一羽。人間は青サギの ことなど気がついていないようで、黙々と作業を続けている。青サギは、離れたところからただじっとその作業を見守っている。 なんだか不思議な光景だった。
 いま、岡山県内どこに行っても青サギや白サギをたくさん見かけるが、子供のころはまったく目にすることはなかった。田んぼの真ん中に ある高校に通っていた当時も、通学路でサギの姿を見た記憶がないし、「白鷺遊ぶ野路遥か」という校歌の一節には、違和感すら覚えていた。 子供のころは、公害問題、農薬問題など環境破壊が社会問題化し、生活廃水による水質汚染も含めて、およそ周りの自然は汚れたものという イメージしかなかった。海岸の岩場に着いたアオサなど、たとえ食用になったとしても食べられるような代物ではないと思っただろう。
 おかしなことに、サギの姿をそこかしこで見るようになると、よい環境が戻りつつあると安心する。本当は環境が良くなったから、 鳥が戻ってきただけなのに。鳥の舞い飛ぶ姿が見られる環境は、人間にとってもいい環境であることは間違いない。鳥だけでなく、あらゆる 生物と共に生きられる環境こそ、人間に必要な環境なのだと思う。

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