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実は高いところはあまり得意ではない。得意ではないけれど嫌いではない。冬の寒さは得意ではないけれど、夏の蒸し暑さほどではない。しんどいことはあまりしたくないけれど、体を動かすのは好きだ。そういう理由で、夏になるとわざわざしんどい思いをして北アルプスの山上へと登山に出かけるのだが、できれば、自宅近くから簡単に高いところに登れる梯子があればいいなあと思う。 牛窓の町をぶらぶらしていると、海沿いに梯子が立っていた。傍らには天を指し示す標識のようなものがある。梯子の途中には半鐘がひとつ。もちろん、梯子は途中で終わっている。しかし、である。もしかするとそこから上は人の目には見えないようになっているだけで、実はずっと上まで続いていて、天上界に通じているのではないだろうか。なんてことを考えてみたりする。あの半鐘は、じつはこれから上に登っていきますよと上にいる誰かに事前に知らせるための呼び鈴だったりするのかもしれない。 |