#20 「魚屋さん」 撮影地:岡山県玉野市

 都会でもちょっと不便なところや大型の団地などでは、いまでも移動店舗型の魚屋さんの姿を見かけることがある。都会で見か けるのは軽トラックの荷台を陳列ケースに改良したタイプの魚屋さんだが、田舎、といっても港町や漁港の場合だが、魚屋さんは自転車に 魚を積んでやってくる。
 仕入れ場所と販売先が近いことや、それほど大勢のお客さんを対象にしていないためだろう。地元でその日獲れた魚を仕入れて、その場で さばいてくれる。もちろん、切り身にしてプラスチックのパックに入れてサランラップで包んでくれるなんてことはしない。どうせ、すぐ に調理して食べてしまうのだし、すぐ近所の家まで持って帰るだけなのだから、自分でビニール袋なりお皿なりを持ってくればいいのだ。
 地産地消なんてことがさも目新しい概念のように取りざたされているが、そんなことは昔から当たり前のように行われていたこと。無駄な 輸送費も人件費もかけず、過剰な包装サービスもない。でも、それがあたりまえ。売る方も買う方も、資源の無駄遣いはいっさいしません。 本当に環境にやさしいのは、工場からの廃棄物をゼロにしましたなどと声高に宣伝する企業ではなくて、こういう街の人々なんだと思う。

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