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牛窓の目抜き通沿いに、小さな公園がある。小さいといっても、子供の遊び場としてはそこそこの広さがあり、鬼ごっこや 陣取りゲーム、ラジコンカーの操縦ぐらいは問題なく出来そうだ。公園の奥には鉄棒とジャングルジム、それに白い象の 滑り台が設置されていて、さびてペンキのはがれたジャングルジムなどに比べると、象の白さだけが異様なほどまぶしい。 設置されたのが新しいのか、それとも塗りなおされたのか、どちらにしても真っ白い巨体を輝かせて、その象はいつも笑 顔で子供が来るのを待っている。しかし、いままで何度もこの公園の前を通ってみたが、一度として子供の姿を見かけた ことがない。いや、そういえば人がいるのを見たことがない。地面を見ても誰かが遊んだような跡もない。悲しいくらい に白い象の滑り台は、それでも微笑を絶やさず誰かをじっと待っている。 |