海に面した狭い平地に肩をすぼめて立ち並ぶ家屋と、そこから押し出された家屋が山の斜面にはりつくように して並ぶ前浦の町並み。しかし、この中には人のすまなくなった家屋も多く、町自体に活気と呼べるものはない。 冬ということもあってか、小鳥のさえずりさえ聞こえず、時折風が木の枝を揺らすザワザワという音以外には、 静寂に包まれていた。それでも、美しい青空とそれを映す海のおかげでゴーストタウンのような陰鬱な 雰囲気はなく、静かな海辺の漁村を訪れたような落ち着いた感じのする風景だった。
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