別にどうということもない小学校の校庭のよくある光景だけれど、なぜかこの一角にむなしい喪失感のようなものを感じた。
鉄棒を飲み込み始めた木の枝の成長が、空白の時間の長さを象徴している。子供をあらわしたのであろう白いオブジェも、
ところどころ薄汚れてどことなく悲しい。葉をすべて落としたイチョウの木と、空を覆うどんよりとした雲。なんだか
すべてが捨て去られた風景のようだった。しかし、廃墟が持つ絶望感のようなものはなく、雲間から差し込んだ斜光に照らされ
て、再生への期待のようなものがわずかに漂っているようにも思われる。