太陽が水平線を離れる瞬間、太陽直下の水平線にちょうど真っ赤なしずくを一滴落としたような現象をみることがある。
私はこれを勝手に「太陽の滴」と名づけている。全国的にあまりお目にかかれない現象なのか、それとも季節や地域に
よっては比較的よく見られるものなのか定かではないが、個人的にはこの写真を撮影した時以外は、お目にかかったこ
とがない。おそらく蜃気楼の一種であると思うが、なにしろ寒い朝でないと見られないというのが最大の問題なのだ。
見られるかどうかもわからない現象を撮影するために、暖かいベッドから早朝抜け出さなければならない。これは相当
な精神力が必要だ。しかし、一度目にすればその荘厳で神秘的なシーンがまぶたの裏に焼きつくことは間違いない。