港に面した通りの家の前に、赤い椅子が二脚おいてあった。雑に白ペンキが塗られた木壁とコンクリートのグレーを背景に、 その椅子だけが奇妙なほど存在を主張していた。背後の建物は飲食店らしく、その椅子が来店者用なのかどうかは定かではないが、 不思議なほど仲睦まじく、静かに並んで海を眺めているような雰囲気を醸し出していた。そこにどんな人が座り、どんな時間を すごしているのかとても気になった。
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