街の風景5NEW |
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外資系の企業に勤めていると、出張で外国に行く機会がときどきある。といっても職種によりけりだが、幸いにも マーケティングという職種は新製品の情報を早く入手する必要があるし、本社の担当者ともコミュニケーションをとら なければならないということで、私も数回外国出張を経験した。 正直に言えば、英語は決して得意ではなく、ビジネスで議論できるほどのレベルにはない。それに、もともとおしゃ べりがすきというわけでもなく、どちらかといえば口数は多くないほうなので、外国出張はできれば避けたい。とはいえ、 今回の出張は仕事というよりほとんど遊びであり、直接ビジネス的な話を誰かとしなければいけないということでは ないので、やや気が楽であった。 1999年6月ごろだっただろうか。季節は夏だったと思うがあまり記憶が定かではない。当時勤めていたのは米国 に本社を持つソフトウェア会社。日本では無名だが、業界ではかなり規模の大きな会社で、毎年自社製品のユーザや パートナー企業などを集めたイベントを開催していた。ただし、この類のイベントはコンピュータ業界では珍しくないので、 この会社に限ったわけではない。この年は、たまたまニューオーリンズで開催するということで、世界各地の支社から 多くの関係者が招待された。事実上は販売成績が世界的に良かったことに対するインセンティブ旅行なのだが、名目は 研修とイベントの視察というわけだ。日本からは営業とマーケティングから10数名が参加した。 面白いことに、ニューオリンズにあるホテルの部屋数では、このイベントに参加するお客さんとビジネスパートナー の人数だけでいっぱいになるとかで(もちろん観光地なので一般客用の部屋を差し引いての話)、社員の宿泊場所を確保するために カリブクルーズの豪華客船を3隻借り切って、会場前の港に横付けするというのだ。いままで乗ったことのある大型船 といえば国内のフェリーぐらいなので、これにはかなり興味をそそられた。ただし、行きの船中でなにか製品に関する トレーニングがあるというので、ただのんびりと船旅を楽しめるということではないらしい。 |